評価方法と結果の表示
基本構造
評価者はCASBEEの評価マニュアルに記載されている内容に従って評価を実施し、評価ソフトにその採点結果を入力します。
各評価項目の評価結果はスコアシート上のQ(建築物の環境品質)とLR(建築物の環境負荷低減性)の分野毎に重み係数を掛けた得点として表されます。評価結果表示シートは、スコアシートの得点を棒グラフ、レーダーチャート、BEE値のグラフ等を用い、評価結果をビジュアルに表示します。
<評価結果表示シート>(CASBEE-建築(新築)の場合)
スコアシート
各評価項目の評価結果はスコアシート上のQに関する得点SQとLに関する得点SLRで表示されます。
シートは評価分野ごとに分かれています。
Q(建築物の環境品質)は、「Q1室内環境」、「Q2サービス性能」、「Q3室外環境(敷地内)」に大別されます。
LR(建築物の環境負荷低減性)は「LR-1エネルギー」、「LR-2資源・マテリアル」、「LR-3敷地外環境」に大別されます。
ここでいう指標LRは、L(建築物の外部環境負荷)自体を示すものではなく、建築物が仮想境界の外部に与える環境負荷Lを低減させる性能レベル(Load Reduction;環境負荷低減性)を示しています。
得点
得点は各評価項目の採点基準に従って採点されます。
評価に適用される採点基準は評価時点での技術的、社会的なレベルを考慮して決定されます。
5段階採点システムが採用され、レベル3(すなわち3点)は標準的なレベルを示します。
重み係数
Q1、Q2、Q3、LR1、LR2、LR3等の各評価項目に重み係数が設定されます。
評価分野Q内の重み係数を全て足し合わせると1.0になります。
各評価項目の得点に重み係数を乗じた結果を合算し、評価分野Qの総合得点SQ、および評価分野LRの総合得点SLRが得られます。
評価結果表示シート
(1) 建物概要
メインシート1)の建築概要の欄に入力した情報、建物名称や用途、場所、規模、構造など、が、自動表示される。
(2)CASBEEの評価結果
建築物自体に関わる環境性能評価項目の評価結果を表示する欄である。この欄は、スコアシートで集計された各採点項目の入力結果を基にグラフ表示される。各評価項目のスコアは、小数点以下2桁目を切り捨て処理された数値が表示される。なお、各項目のスコア算出にあたっては、有効桁数の処理(丸め)を行っていない数値をもとに集計を行う。
(2-1)建築物の環境効率(BEE:Built Environment Efficiency)
Q(建築物の環境品質)とL(建築物の環境負荷)の評価結果から算出される「建築物の環境効率:BEE」を表示する。QとLの値はそれぞれQ分野の総合得点SQおよびLR分野の総合得点SLRから導かれるが、表の右側にBEEおよびQとLの計算式を示す。ここで、まず分子のQは建築物の環境品質の得点SQ(1点~5点)をQのスケールである0~100の数値に変換するため、Q=25×(SQ-1)と定義する。一方、分母のLは、環境負荷低減性の得点SLR(1点~5点)をやはり環境負荷Lのスケールである0~100の数値に変換するため、L=25×(5-SLR)と定義する。
BEEは、小数点以下2桁目を切り捨て処理された数値が表示される。なお、BEE算出にあたっては、有効桁数の処理(丸め)を行っていない数値をもとに最終的なBEEまでの計算を行う。
グラフ上では、縦軸にQ、横軸にLの値を表示しており、原点(Q=0、L=0)およびQ値とL値の座標点を結ぶ直線の傾きがBEE値を示す。Q値が高く、L値が低いほどこの傾斜が大きくなり、よりサステナブルな性向を持った建築物と評価できる。CASBEEでは、この傾きに従ってC(劣っている)からB-、B+、A、S(大変優れている)の5ランクに分割される領域によって建築物の総合的な環境性能評価結果をランキングする。上部の赤星はこのランキングを星の数で表したものである。
(2-2)ライフサイクルCO2 (温暖化影響チャート)
参照値と評価対象のLCCO2が棒グラフで表示される。参照値におけるLCCO2排出量を100%したときの評価対象の排出率(%)が表示される。
①参照値(省エネ法の建築主の判断基準に相当する省エネ性能などを想定した標準的な建物のLCCO2)
②評価対象建物のLCCO2:建築物での取組み(エコマテリアルや建物の長寿命化、省エネルギーなどの取組み)を評価した結果
③上記+②以外のオンサイト手法(敷地内の太陽光発電など)を利用した結果
④上記+オフサイト手法(グリーン電力証書、カーボンクレジットの購入など)を利用した結果
なお、標準計算においては、③と④は同じ数値が表示される。
(2-3)レーダーチャート
さらに、Q1からLR3まで6分野毎の得点が左上のレーダーチャートに一括して示され、対象建築物における環境配慮の特徴が一目でわかるようになっている。
(2-4)バーチャート
Q(建築物の環境品質)は、表の上欄に「Q1室内環境」、「Q2サービス性能」、「Q3室外環境(敷地内)」の分野ごとの評価結果が棒グラフで表示される。また、LR(建築物の環境負荷低減性)は表の下欄に、「LR1エネルギー」、「LR2資源・マテリアル」、「LR3敷地外環境」の評価結果が同様に表示される。
(3)設計上の配慮事項
評価建物の環境配慮の全体像を第三者が把握し易くするために、環境配慮設計における配慮事項を表示する。配慮事項記入シートの、「総合」、「Q1」~「LR3」、「その他」の各欄に記述された内容がそのまま表示される。